貴方と出会えて本当に良かった。
僕は君と出会えて本当に良かったと思う。僕の人生が180度回転したからね。
君が僕の前に現れてくれたおかげで今の僕がいられる。
だけど。
今の僕は、君がいないと僕という人格が保てなくなってきたかもしれない。
それほど僕には君が必要。
「普賢?そんなところで何をしているのだ?」
噂をすればなんとやら……思わず普賢は吹きだした。
「なんだ?気色悪い。人の顔を見ていきなり笑い出すとは」
彼は腕を組み、少し頭を傾けてこちらへ歩いてくる。制服がいやに似合っていて、
ネクタイをゆるめて、白いシャツがだらしなく出ている。
「この屋上は立ち入り禁止ではないのか?ちゃんと看板見たか?」
「うーん…」
わざと唸ってみせる。
そして、指に挟んだ煙草を口に持っていった。
風で煙が手すりの向うへ消えていく。
軽く吸うと、すぐに吐き出した。
「あぁ!!未成年が煙草を吸っちゃいけないんだぞ?」
太公望が真面目な顔で、すばやく普賢の指から取り上げた。
煙の立つそれをしげしげと眺める。
そんな無邪気で無防備な太公望を見て、普賢はまた微笑んだ。
好きだなあ…こんな望ちゃん。
ずっとずっと見ていたい。
「うっ…けほけほっ…げほっ」
どうやら吸ってみたらしい。少し涙目になっているようだ。
「大丈夫?望ちゃん」
からだを折り曲げて咳をしている太公望を背をさすった。
「だ…大丈夫ではないわ!!よくこんなのが吸えるのう…」
からだにも良くないのに…と愚痴をこぼしている。
コンクリートの上に投げ捨てると、皮の靴のつま先でつぶした。
「あー…望ちゃん、それ僕まだ1回しか吸っていないのに…」
普賢は残念そうに呟いた。灰が風で青い空に舞いあがる。
「あほか、おぬしは。何処がいいのだ?からだを悪くするだけだぞ?」
分かっているよ、そんなの。
そう言おうとして、やめた。からだを悪くするとか、そういうことは考えて吸っていないから。
「そうだね…なんでだろ。別に美味しいって感じたことは一度も無いんだけど……
あ。落ちつくからかな。嫌なことも忘れる事ができるしね」
なにもかも、嫌なことは忘れてしまいたい。
「わしじゃ…だめなのか?力になってあげられないのか?」
悲しそうに普賢の顔を覗きこんだ。
「そんなことあるわけないじゃない。充分支えになっているよ。
今も、君が傍にいてくれていることでも僕は救われているんだ」
普賢は太公望の肩を引き寄せた。
「おぬし、冷たくなっているではないか!!ああ!!こんな格好で外にいたのか?!」
「気づかなかったの?」
くすくすと笑いながら太公望を抱きしめた。服を伝って暖かいからだの熱を感じる。
「いいの。望ちゃんに暖めてもらうから」
そっと口付けた。
「普賢…大好き。だから」
「僕も望ちゃんのことが大好きだよ。大丈夫だから、ね」
更にきつく抱きしめると、赤い唇に唇を深く重ねる。
少し早めの桜の花びらが何処ともなく降り注ぐ。
白い服が風ではためく。
長く口付けながら、普賢はふと思った。
このからだ……春まで持つのかなぁ。
今年こそは病室以外で桜を望ちゃんと見たい。
神様どうか、僕の最後の願いを聞いてください。
fin
あわあわ(^^;)
なんとも言えないものが出来てしまいました。。
約1時間……最初の予定と話が途中で変わってしまったので、矛盾点があるかもしれません。
見逃して下さい――!!