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気になる奴ができた。 名前は風祭将。 こいつはチビでサッカーも下手で、更に男。 だけど、何か他の奴とは違う物を感じたんだ。 英士も一馬も、その他の奴も同じように思っている。 そう気付いて以来、自由に話しかけられないことにジレンマを感じていた。 何とかして周りに差を付けたい。 誰もがそう思っている中、俺だけにチャンスはやってきた。 明日は選抜最終日。 英士との練習の後、飛葉中の奴らと一緒に鬼ごっこをしている風祭を見付けた。 「遊びに、なに本気になってるんだか。」 「もしかして、もう紅白戦捨ててるとか?」 むか。 言い返してやろうと俺が口を開くより早く、英士が口を開いた。 「目クソ鼻クソを笑うってね。」 英士はそのまま歩いて行こうとしたが、俺が後ろに付いてきていないことに気付いて振り返る。 「結人?」 「俺もうちょっと見てから行くわ。」 風祭から目を離さずに顔だけを軽く英士に向けて答えた。 英士は何かを言おうと口を開いたが、何も言わずに宿舎の中に入っていった。 将と飛葉中の奴らのゲームが終わった後、一端部屋に戻ってから汗を流すために小浴場へ向かう。 が、飛葉中の奴らが沢山いて暑苦しかったので、予定を変えて大浴場へ行くことにした。 「あー、何か旨い手はないもんかね・・・」 脱衣籠に服を投げつけて、洗面道具を片手にドアへ手を掛けると中から水の跳ねる音がした。 (風祭とかだったら良いのにな。) とっさに浮かんできた考えに苦笑して、勢い良く引き戸を開けた。 「きゃあっ」 「えっあっ悪い!」 開けたときよりも勢い良く、ほとんど反射的にドアを閉める。 その後で、悲鳴が異常なことに気付いた。 「・・・『きゃあ』・・・?」 明らかにBの監督の声とは違かった。 あの監督より高い声だったんだから、まさか食堂のオバちゃん なんて事はないだろう。 とゆーかその前にここは男湯じゃないのか? ドアから離れてそんなことを考えていると、そろそろとドアが開いて人影が覗く。 「・・・風祭?」 大きめのバスタオルで体の大部分が隠れていたけれど、それでも覗く肌は、男のものより丸みを帯びていて。 正直、言葉に詰まった。 「女、なのか?」 「・・・うん・・・」 「・・・」 「・・・」 とりあえず風呂から出て、今はというと人目に付かない場所で缶ジュースを飲んでいるのだが。 ずっと流れ続けている沈黙に、何を言って良いかわからず、更に沈黙が深くなっていく。 それを破ったのは風祭だった。 「・・・あの、ゴメンね、びっくりした・・・でしょ?」 しない奴がいるなら会ってみたい。 だけど、よく考えるとこれはすごいチャンスなんじゃないだろうか。 風祭が女って事は俺にしたら間違いなく好都合だ。 「風祭が女ってさ、誰か知ってんの?」 「う、ううん、誰も。家族以外は。」 「じゃあ、バレたら困るんだ?」 目を見開いた後、ゆっくりと頷く。 自分でも格好の良いやり方だとは思えないが、これを利用しない手はないと思った。 「・・・バラさないでやるよ。」 「っ本当?!」 「その代わり。」 不自然に切れた言葉で、風祭の顔に緊張が走る。 「今度、女の格好で遊ぼうぜ?」 「無理っ!」 心からの即答。 次に出た自分の声が低かったのは、少なからず自分の心境が影響していたからだと思う。 「・・・じゃー、バラして良いんだ?」 「それもダメっ!」 「じゃあ遊ぼうって。」 この押し問答は、声を抑えることを忘れてしばらく続いた。 「何でダメなんだよ?」 「何でって・・・だってそんな事したらバレるに決まってるじゃないか・・・」 要するに、風祭は俺と遊ぶのが嫌なんじゃなくて、バレたら困ると言っているのか。 つまり、バレなければ構わない、と。 「・・・なら、問題ないじゃん。」 「え?」 自分一人で結論に達して答えを言った為、風祭には通じるはずもなく。 不思議そうな顔で見上げてくる風祭に、得意げな笑みを返す。 「俺、化粧とかそーゆーの得意だし。軽くメイクしたら分かんないよ。」 「!・・・本当に分からない?」 もちろんと頷いでもまだ迷っていたので、駄目押しの一言。 「バラすぜ。」 「やっ、やらせて頂きます!」 その言葉に満足して、もう遅いからとその日は別れた。 念願の、風祭との約束の日。 「若菜君!」 呼び掛けに振り返ると、まだ待ち合わせの時間には余裕があるのに駆け寄ってくる人影。 それに笑って手を振り返す。 「風祭。」 気になる奴ができた。 小さい背丈もサッカーの上手さも、女だと分かれば何のハードルにもならない。 ふとしたキッカケで付けた周りとの差。 だけど、それを手に入れた今はそれだけじゃ物足りなくて。 君の、恋人になりたんだ。 |
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えーと、原作の設定を見事にぶち壊しているのでゴミと相成りました。タイトルの『I wanna be your lover』ですが、君の恋人になりたい、とゆー意味です。おそれ多くも偉大なるビートルズさまより頂きました。読みにくい上に若菜が偽物・・・御免なさい(平伏)。 少しでもお楽しみ頂けましたらそれ以上ない幸いです。
雛谷。
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