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初めて君を見かけたのも、確かこんな雨の日だった。



through



ミィ…

雨音に紛れて、猫の鳴く声がする。歩くのを止めて何気なくその方向を向くと、色とりどりのカサの隙間から知っている背中が見えた。

(あれは・・・。)

飛葉中で翼と一緒にDFをやっていた、黒川柾輝。
立ち止まったままよく見ると、柾輝はカサを差していなかった。春とはいえ、この次期はまだ寒い。ただでさえ薄手の洋服なのに、その肩口は肌の色が透けるくらい濡れていて。

(あのままじゃ、風邪引いちゃうんじゃ・・・。)

そう思ったら居ても立っても居られなくなって。



突然、肩に感じていた雨が途切れて頭上から水色の影が掛かる。驚いて振り返ると、そこにいたのは。

「風祭・・・。」

都大会の地区予選の時に対戦した、桜上水のFW。何故ここにいるのかは解らないが、自分の後ろでカサを差し出しているのは本人に間違いないだろう。

「どうかしたの?」

視線は柾輝の腕の中。

「ああ・・・雨が多かったから弱ってるらしくて。」

その質問に自分も視線を戻した。



柾輝の腕の中にいたのは薄いオレンジ色の布に包まれた仔猫。確かに、鳴き声や目の開き方が少し不自然な気がする。だけど、こんな微妙な変化、普通なら気が付かずに通り過ぎてしまうだろう。
そう言えば、前にも彼がこうゆう事をしていたのを見たことがある気がする。
確かあの時もこんな雨の日で。あの時に見たのは後ろ姿だけだったけれど。あの後ろ姿は確かに彼だった。

(本当に猫が好きなんだな。)

そう思うと、思わず笑いが漏れた。

「・・・んだよ?」

「えっあ、ううん。」

明らかに不機嫌な顔で振り向かれて、少したじろぐ。どう言い訳をしようか躊躇うが、柾輝の持っている薄いオレンジ色の布がトレーナーな事に気が付いて。
その考えは一気に吹っ飛んだ。

「黒川くん、それ黒川くんの洋服?!」

「へ・・・あ、ああ。」

異常なくらいに薄着だった事に要約合点がいく。だけど、今はそんな事を納得している場合ではない。

「そんな、黒川くんが風邪引いちゃうよ!」

そう言って、急に柾輝の手を引っ張った。

「どこ行くんだよ?」

「どこでも・・・だって、寒いでしょ?」

「これ、持って?」

振り返った将に見せつけるように仔猫を前に出す。それを見て、将が困った顔をした。

「あ・・・そっか・・・。」

仔猫を抱えている事で、どこへ行っても門前払いを食らうだろう事は火を見るより明らかだ。
しばらく俯いて何かを考えていた将が、突然顔を上げて柾輝にも予測できなかった事を口にした。

「黒川くん・・・ぼくの家、来る?」

唖然。
恐らく、猫を抱えていても入れて、暖かい場所とゆうのが、将の中ではそこ以外に見付からなかったのだと思うが、はっきり言ってここから将の家まで行く位なら、自分の家に帰った方が断然早い。
だけど、そんな考えは将の頭の中にはないらしい。

(・・・面白い。)

笑っていたかと思えば急に曇る、見ていて飽きない表情。翼がお気に召している理由が解った気がした。

「・・・そうだな。」

柾輝の返事を聞いて、将の顔に笑顔が戻る。そのまま歩いて行こうとする将の手からカサを取って代わりにトレーナーごと仔猫を渡す。そして家へ向かった。



初めて君と歩いたのも、雨の日だった。



end
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山ナシ、落ちナシ、意味ナシの3拍子がよく似合う(駄目じゃん)。何を主題に書いてたのか分かりません。黒川は偽物だし、未遂(?)だし・・・