>>>>>>LOVE or LIKE







「好きだよ。」

そしたら、笑って。

「ぼくも大好きですよ。」



初めて好きと言ったのはいつだった?

頻繁に言うと有り難みが薄れるとか言うけど、それは相手に自分の気持ちが伝わってるから言える事なんだと最近分かった。
今のアイツ、風祭将には何度言っても薄れるどころか伝わってもいない。
将との待ち合わせの場所で、厄介な奴に惹かれたな、と椎名翼は思う。



翼と将は試合の後、なにげなく電話を掛けては時々遊びに出掛ける仲になっていた。
そんな中、翼は自分が将に惹かれていることに気付き、その時から将に色々とアプローチを続けて居るのだが。
上に「重度」が付いてもおかしくない鈍感な将の事、遠回しに態度に表すだけでは効果無し。
直接「好きだ」と伝えても、オトモダチとしての「好き」で片づけられてしまった。
いつかは気付いてくれるんじゃないかと淡い望みを込めて、ずっと好きだとは伝えて居るが今の所、その兆しは見えてすらいない。
軽く息を吐いて時計を見ると、1時丁度。
将との待ち合わせは1時だから、そろそろ来る頃だろう。

「椎名さん!」

癖のない髪を揺らして、人混みを駆けてくる姿が見えた。

「ごめんなさい、待ちましたか?」

「ぼくが早く来すぎただけで、別に将は遅れてないよ。それに・・・」

息を整えて顔を上げた将の額を軽くつつく。

「ぼくは翼だって言ってるだろ。お前の頭は何のために付いてるんだよ?」

今度椎名って呼んだらその口塞ぐからな、と付け足してから、額を押さえる将の手をひいて翼は歩き出した。

「しい・・・翼さん、何処に行くんですか?」

途中まで呼び掛けた名前を飲み込んで、前のめりになる体を何とか支えながら将が疑問を口にした。

「将はどこに行きたい?」

「えー・・・っと、ぼくですか?」

困った顔をして黙ってしまった将の顔を覗き込んで笑いながら翼が付け足した。

「単にぶらぶらしたいと思っったんだけど。」

予定も無いのにぼくと出掛けるのは嫌なわけ?わざと嫌みっぽい口調で言うと、あわてて将が否定した。



適当に話ながら歩いていると、急に翼が進行方向を変える。

「何処行くんですか?!」

急に腕を引っ張られてバランスを崩し掛けた将が、それでもなんとか持ち直して翼を見上げた。

「入ろうぜ。金あるだろ?」

あれ、と翼が指さしたのはゲームセンター。

「ええ?!でもぼくあんまりゲームやった事ないし・・・」

言う将を無視して翼はゲームセンターに入っていった。



「ゲームあんまりした事なかったんですけど、楽しかったです!」

今はゲームセンターからさして遠くない所にある公園にいる。

「椎名さんは良く行くんですか?」

ふいに自分の影にもう1人の影が重なって。
唇に軽く柔らかい物があたる感触。

「つ・ば・さ、だよ。」

あたったのが翼の唇だった事に少し間を置いて気付くと、将は思い切り顔を赤らめた。

「し・・・っしいなさ・・・!!」

「翼だっていってるだろ。もう一回されたいの?」

ぐい、と近づいてくる翼に顔を更に紅くして首を横に振る。

「・・・翼さん!!」

素直に顔を将から離して、笑いながら翼は言った。

「「椎名」って呼んだら口塞ぐっていっただろ?」

将は顔を紅くしたまま、だからって・・・などと呟いている。

「あとは、将が好きだからだよ。」

じゃあまたな、と適当に手を振り、翼は将に背を向けて歩き出した。



あれで、少しは伝わっただろう。
今まで散々な目にあったのだから、あれ位の報酬は当然の事。
前途多難な恋を結構楽しんでいる自分に気が付いて、翼は思わず吹き出した。




end





とある人に言われたが、東京人は必ず彼(女)がいて、
来る日も来る日も渋谷新宿109に繰り出しているらしい。
私は、東京人として彼女に何を言えば良かったんだろうか。
・・・で、結構前に書いた初の翼将です。
なんで最後に翼さんが笑ってるのか分かりません。
って言うか、冒頭と最後で翼の考えが矛盾・・・ゲフゲフン。
最後まで読んでくださって有り難う御座いました。

雛谷。