ハッピーバースデー。






 十月一日、東京都民の学生には言わずと知れた休日、都民の日である。そんな日の朝、カーテンを開けて窓の外を睨んでいるのは、今日が誕生日である多岐だ。

「…何でこんな時期に台風かな…。」

 窓の外に広がるのは、見事なくらいの暴風雨。ニュースキャスターの言うことには、暴風、波浪、暴雨、洪水注意報だそうである。
 学校の友達が祝いに来てくれると言っていたのだけど…これでもかっ、と言うくらいに出された注意報の中、来てくれるヤツはいないだろう。
 そう考えた多岐の出した結論は―――

「………寝てよう。」

 だった。
 ところが、カーテンを閉め直して、ベッドに潜り、さあ寝るぞ!と言うところで電話が鳴る。無視してしまおうか、とも考えるが、誰だか分からないのに八つ当たりは良くないな、と考えて体を起こす。

「はいもしも…、」

『多岐くん誕生日おめでとうっ!』



 ………はい?



 言葉を遮って叫ばれた言葉に思わず固まりかけるが、何とか頭を働かせる。この声は確か、と言うか絶対―――

「………カザくん?」

『あっ、ゴメン名前言わなくてっ!』

 わたわたと慌てる様子がリアルに想像できて、思わず笑ってしまう。

「ううん、ありがとう。」

 まあ、こんな誕生日もアリかな、と思った。



END



 おー。古いですね。2002年です。そう言えば暴風雨だったんですよねえ。更新記録整理のためにこちらにアップしてみましたー。

 最後まで読んでくださってありがとうございました!

雛谷(20021010アップ、20040203更新記録より移動)