ずっと一緒にいたいと思う。
だけど、二人きりになるとどきどきしてしまって。
でも二人でいる時はとっても幸せ。

それって、どんな名前の気持ちだっけ?


+好きの気持ち+



「若菜くん!どうしたの?」

僕が帰ってきたら、マンションの玄関に若菜くんがいた。
いたことに驚いたけれど、でもそれ以上に嬉しい気がして。

「あ、お帰り〜。悪いな、突然。」

僕に向かって軽く手を上げると、こちらに近づいてきた。
僕と若菜くんの距離が近くなるにつれてどきどきしてしまう。なんでだろう?

「ううん。あ、上がってって?」

今の、不自然じゃなかったかな?
そう思って若菜くんを見たけれど全然気にしてないようだった。

「ん、ありがと。」

短く応えると、若菜くんは僕の少し後ろを歩いてエレベーターに乗った。



「ちょっと散らかってるけど・・遠慮なく入って。」

僕がばたばたと中に入ると、後ろからお邪魔します、という声が聞こえた。

「風祭の家って兄貴と二人暮らしだっけ?」
「うん、そうだよ。」

雑誌やら朝のままのコーヒーカップやらを片づけていた僕は、若菜くんの方を向かずに答えた。

「家事とかって誰がやってんの?」
「兄貴もするけど・・・大半は僕がやってるよ。」

へぇ〜、と感嘆の声を漏らしながらリビングに着いた若菜くんに、その辺座ってて、と言って台所に向かった。

「だから風祭は料理がうまいんだな。この間貰ったチョコレート、めちゃくちゃうまかったし。」
「あ、ありがとう・・・」

ほめられた。
すごく嬉しくて、でも上手く言葉が出なくて。
小さな声でお礼を言うくらいしかできなかった。



コーヒーを渡して僕も座ると、若菜くんになんで家の前にいたのかを尋ねた。

「僕に何か用事だったんでしょ?」

僕がそう言うと、うん、まぁ、と言葉を濁す。
だけど意を決したように鞄の中を探ると、何かを取り出して僕の目の前に出した。

「これ・・・風祭に。チョコのお礼。」
「えっ、くれるの?」

若菜くんが差し出してきたのは手のひらより少し大きい、綺麗にラッピングされた箱だった。

実は、僕はお世話になっている人たちにバレンタインにチョコを渡した。
もちろんその中に若菜くんも入っていたんだ。
今日はホワイト・デイ。その人たちからたくさんお返しを貰ったけれど。

(すごく・・・・なんかすごく嬉しい。)

若菜くんから貰うということが、すごく嬉しい。

「あの、じゃぁ・・頂きます。」

物々しい手つきでお返しを貰うと、僕はそれを見つめた。ついつい笑顔になってしまう。
すると若菜くんがそんな僕に声をかけた。

「風祭みたいに手作りじゃなくて悪いんだけど・・。」
「そ、そんなことないよ!すごく嬉しいよ、僕!!」

すごく大きな声でそう言ってしまって、なんだか恥ずかしくなってしまった。
若菜くんもそんな僕に驚いたらしく、僕を見つめていた。
・・気まずい雰囲気になってしまった。

(あぁ、もう、僕の馬鹿!)


せっかく若菜くんと一緒にいられるのに。
嬉しいってこと、伝えたいのに。
・・・緊張してうまく伝えられない。全部裏目に出てしまう。


僕は自分の情けなさを呪った。
すると、俯いていた僕に、不意に言葉が落ちてきた。



「風祭、俺、お前のことが好きなんだ。」



突然かけられた言葉の内容が把握できない。

今、若菜くんは何て言った?
好き?
誰が、誰を?
・・若菜くんが、僕を?

「えっ、えぇぇ!?」

驚いて顔を上げると、若菜くんの顔が目の前にあって。
僕が反射的に目を閉じると、何か温かいものが唇に触れた。
それは、一瞬だけ触れてすぐに離れてしまったけれど。

「・・・こーゆー風に、お前のことが好き。」

静かに若菜くんが告げる。
そして僕がゆっくりと目を開けると、若菜くんが真剣な表情で僕を見つめていた。
まるで、僕がNOというのを覚悟しているみたいな表情。
でも僕の答えは―――

「ぼ、僕も・・・若菜くんのことが好き。多分、ずっと前から・・・。」


いつまでも一緒にいたいと思うこと。
でも二人でいるとどきどきすること。
そして、 相手のちょっとした言動でも嬉しくなったりすること。

・・・その人が、好き、ということなんだろう。
やっとわかった。僕の気持ち。


僕がそう伝えると、若菜くんはものすごく驚いた表情をした。
でもその後、幸せそうに微笑んで僕をぎゅっと抱きしめた。

「あ〜〜〜〜〜、まじ夢みてぇ。本当に、本当に俺のこと好き?」

まるで子供みたいに何度も確認してくる若菜くんに、僕はくすくす笑ってしまった。

「笑うなよ!これってすっごい重要なことだぜ?」

ムキになってそう言う若菜くんに、まだ少し笑いながら答えた。

「僕、好きだよ。若菜くんのこと・・・」

その言葉に若菜くんは腕の力を少し強くして、しっかりと僕を抱きしめてくれた。
この人が、僕の、好きな人。
その存在を確認するように僕も若菜くんの背中に腕をまわした。




+end+







管理人の雰囲気をぶち壊すコメント。

本当に有り難う御座いましたー。
月水さまの書かれる小説は本当に大好きですvvv
是非是非これからも頑張って下さいvvv